おまえなしに生きていけない:マルティアーリス

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マルティアーリス『エピグランマタ』の一つをご紹介します。(12.46)

XLVI

Difficilis facilis, iucundus acerbus es idem:
Nec tecum possum vivere, nec sine te.

2行だけの詩です。
1行目は、「同じ君が気難しかったり従順だったり、楽しげだったり気難しかったり」という意味です。それぞれの形容詞は単数主格なので、辞書を引けば意味が載っています。
2行目は、「nec A, nec B」の構文で、A、B ともに否定します。
possum(私は~できる)は不定法 vivere(生きること)を目的語にとります。
tecum= cum te(te は人称代名詞 tu の奪格)のことです。cum は「・・・とともに」を意味する前置詞で奪格を取ります。英語なら with you となるでしょう。
sine は「・・・なしに」を意味する前置詞で、これも奪格を支配します。
「私はおまえとともに生きていけない、おまえなしに生きていけない」という意味になります。

Epigrams, Volume I: Spectacles, Books 1-5 (Loeb Classical Library)
Martial D. R. Shackleton Bailey
0674995554

Martialis

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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